非定型歯痛

原因不明の左上奥歯辺りの痛みがもう4ヶ月近く続いています。
痛みには波があり、ジーンとしたしみるような痛みです。
噛むとにぶい痛みが出る時があります。飲食でしみる症状はないです。
歯磨きの後、痛みが酷くなることが多いです。
歯ブラシはやわらかめで優しく磨いています。
4箇所、歯科医院を受診して
パノラマレントゲンやデジタルレントゲンを撮っても異常なし、
打診痛もなく歯周病もありませんでした。
クリーニング含めて、噛み合わせの確認もされました。
4つ目の歯科で作成したナイトガードも毎晩付けて眠っていますが
2週間経っても症状は改善しません。原因が一向に分からず辛いです。
頭痛や鼻詰まりはないけど少し後鼻漏があるので
慢性副鼻腔炎だったりするのでしょうか?
アドバイスいただけますと幸いです。
安原歯科医院の安原豊人です。
非定型歯痛(ひていけいしつう)という疾患が疑われます。現在は特発性歯痛と呼ばれ、明らかな原因となる歯や歯周組織の病変がないにもかかわらず、歯の痛みを訴える状態です。
英語では「Atypical Odontalgia(AO)」と呼ばれ、神経障害性疼痛の一種と考えられています。
特徴は、
痛みの性質   鈍痛・焼けるような痛み・ズキズキする痛みなど、持続的かつ慢性
原因歯 はっきりしない(以前に抜髄・抜歯された歯に起きることも)
検査所見     X線、CT、触診、歯髄診などで異常なし
持続期間     数週間~数年以上続くことがある
年齢・性別    中年以降の女性にやや多い傾向
精神的背景    ストレス、不安、うつ傾向が関与することがある
診断のポイントは、まず器質的疾患がないことを確認します。
虫歯、歯周病、咬合異常、歯根破折、顎関節症などを除外し、CTやMRIを使って、上顎洞炎や神経腫瘍なども否定します。
持続的な歯の痛みがあり、鎮痛薬や歯科治療が無効なことが多いものです。
さらに、神経障害性疼痛を示唆する特徴である、触れると痛い(アロディニア)や焼けるような感覚(灼熱痛)があります。
鑑別診断として以下の疾患と区別が必要です:
三叉神経痛   電撃痛、数秒〜数分、トリガーポイントあり
上顎洞炎    鼻症状や頬部痛、圧痛あり
顎関節症    開口時痛・関節雑音・咬合の変化あり
心因性疼痛   抑うつ、不安障害、身体表現性障害を伴う
歯根破折    歯科用CTや探針で確認可、特定の歯に局在
治療法としては、非定型歯痛は通常の歯科治療では改善しないため、以下のような神経障害性疼痛へのアプローチが必要になります。

薬物療法
三環系抗うつ薬 のトリプタノールが、第一選択薬です。
SNRI    デュロキセチンや
抗てんかん薬   プレガバリン、ガバペンチンなども神経の過敏性を抑える目的で使用されます。
漢方薬で様子を見る場合もあります。     
心理的サポートとして
認知行動療法(CBT)心療内科や精神科との連携
ストレスマネジメント指導も行います。

ポイント
とにかく不必要な抜髄や抜歯は避けることが大切です。
疑われる場合は、診断を急がず経過を観察し、慎重な対応が必要で、他の専門医(口腔顔面痛認定医や専門医、心療内科、ペインクリニック)との連携が重要です。
非定型歯痛は「原因不明だが強い痛みを訴える難治性疾患」です。患者さんの苦痛は非常に強く、的確な診断と多科連携が鍵になります。
ご希望なら受診してみてください。

院長即答!しかも丁寧

1人で悩まずに、まずはご相談ください。きっと、悩みが解消されますよ。下記のご相談フォームから必要事項にご記入の上、送信するボタンを押してください。

安原歯科医院
院長 安原豊人